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丸山 結; 吉田 一雄
日本原子力学会誌ATOMO, 63(7), p.517 - 522, 2021/07
確率論的リスク評価(PRA)は合理的かつ定量的にリスクを評価する強力な手法である。しかしながら、PRAを実践しつつ、得られた結果を分析し、様々な意思決定に活用する上では、多様な分野の専門的な知識や技術,経験を必要とする。原子力施設のリスク評価においては、シビアアクシデントに至る過程やその進展を評価することが不可欠であり、それらに強く関連する熱流動は、PRAにおける重要な専門分野の一つである。本稿では、軽水炉のレベル2PRAにおけるソースターム評価及び再処理施設のシビアアクシデント時ソースターム評価を中心に、リスク評価における熱流動解析の役割について概説する。
沖田 将一朗; 田崎 誠司*; 安部 豊*
日本原子力学会和文論文誌, 19(3), p.178 - 184, 2020/09
京都大学加速器中性子源(KUANS)は、現在国内で稼働している小型加速器中性子源の一つであり、分光器や検出器の開発に活用されている。さらにKUANSは、比較的低い中性子発生強度のため、減速材設計に関する実験研究に適した施設でもある。KUANSのビーム強度の増加を図るため、リエントラントホールを有する減速材の核設計を実施し、KUANSを利用して設計の妥当性を確認する実験を行った。PHITSを用いた計算によって、リエントラントホールを有するポリエチレン減速材の核設計を実施し、その減速材から得られるビーム強度を実験的に測定したところ、これまで使われていた直方体形状の減速材を用いた場合の1.9倍のビーム強度が得られた。さらに直方体形状の減速材から得られるビームに対する波長毎のビーム強度比は、波長の長い中性子ほど増加し、最大で3倍程度になった。興味深いことに、減速材にリエントラントホールを設けることにより、長い波長の中性子ほどより効率的に減速材の中から取り出されることがわかった。
峰原 英介
Proceedings of 2nd Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan and 30th Linear Accelerator Meeting in Japan, p.200 - 201, 2005/07
第4世代ERL放射光の実現には、2K極低温に冷却された500m長の超伝導空洞とこれを冷却する大型極低温冷凍機が必要である。この運転は半永久無昇温運転により無故障運転を実現するとしても、この全系の完成前の保守と建設は現在の高圧ガスの規制の下では極めて高価であり、故障の元となる非合理な作業が多く、また大量の労力が必要な膨大な申請書類の処理が必要となる。これを解決するため、構造改革経済特区の実現を図る予定である。このほか放射光施設での非合理な規制解消を併せて図る予定である。
羽島 良一
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 528(1-2), p.335 - 339, 2004/08
被引用回数:20 パーセンタイル:76.55(Instruments & Instrumentation)エネルギー回収型リニアックを用いた高出力自由電子レーザー,次世代放射光源の開発における重要な検討課題の一つが、周回軌道におけるビームエミッタンスの増大である。われわれは、適切な周回軌道設計を行うことによって、コヒーレント放射光によるエミッタンス増大が抑制できることを示す。また、簡便な行列計算でエミッタンス増大量の評価が可能であることを述べる。
峰原 英介; 羽島 良一; 沢村 勝; 永井 良治; 菊澤 信宏; 西森 信行
Proceedings of 28th Linear Accelerator Meeting in Japan, p.31 - 32, 2003/08
原研超伝導リニアック駆動自由電子レーザー施設及び研究開発の現状について報告する。半永久的に連続無停止運転が唯一可能な原研FELの超伝導加速器のための冷凍機運転状況,大型から超小型の産業用高出力FEL,次世代光源として急速に開発が進展しているERL放射光源の概念設計,要素検討研究,大規模産業応用等について概略報告する。
峰原 英介
第14回加速器科学研究発表会報告集, 247 Pages, 2003/00
エネルギー回収型リニアック放射光源の為の400m長単一超伝導高周波線型加速器冷凍装置を最適設計を行った。熱進入を最小にする為に、必要な400mの加速長を単一の400mの長さの冷凍装置を設計した。運転を容易に、かつ数十年以上に渡り安定で無故障とするために1台の冷凍装置とすることと連続無停止で冷却し、全計画全寿命に渡り、熱サイクルを半周期とすることはこのような装置にとって必要不可欠な設計概念である。関連するこれまでの原研FELの無蒸発自立式冷凍装置,超伝導線型加速器の運転実績や設計についても報告する。
楠 剛; 高橋 照雄*; 西村 一*; 徳永 三伍*; 小田野 直光; 頼経 勉; 石田 紀久
JAERI-Tech 2001-045, 68 Pages, 2001/07
海洋調査への原子力利用の拡大を目的として、潜航深度600m級の海中航行観測船の概念検討ならびに同船に搭載する超小型原子炉の概念検討を行った。海中航行観測船は、地球の環境変動を予測するための環境変動メカニズム解明の研究に用いられる。本船の主な活動域は、地球環境変動の大きな影響があるにもかかわらず、通常の船舶が活動し難い北極海及び高緯度の荒天海域である。観測活動の要求に基づき、海中航行観測船の基本性能を、船体規模500ton級、潜水深度600m、最大船速12ノット(約22.2km/h)、乗員数16名とした。また、動力源への要求を明らかにした。原子動力は海中で長期間にわたり大出力を供給できる点で優れている。海中航行観測船の概念検討を通じて得られた動力源への要求に基づき、500kWの電気出力を供給するために、小型、軽量で安全性に優れた超小型原子炉SCR2基を調査船に搭載することとした。
峰原 英介; 田中 英一*
Proc. of 11th Symp. on Accelerator Sci. and Technol., P. 119, 1997/00
自由電子レーザーは、クライストロン等のマイクロ波の発振管の原理を可視光やもっと短波長の電磁波の発生に応用したものである。電子エネルギーは基本的には波長と直接的な電子ビームの関係式があり、厳しい制限を課しているが、アンジュレーター周期等を短くし、電子のバンチを波長程度に短くすれば小型の高出力電子加速器を自由電子レーザー駆動源として動作させることが可能である。発振させるためには、大電流が狭い空間に閉じ込められている必要があるが、これが満たされず、発振に必要な増幅率を確保できなくても有用な、強度の大きな、短波長の電磁波が利用できる。小型の高出力電子加速器を用いて、空間的または時間的に可干渉である遠赤外域から硬X線域までの広い範囲の電磁波を生成できることを議論し、この新しい光源を提案する。小型の高出力電子加速器は、電子ビームが高品質であることが必要であるので、具体的には20MeVから10MeV程度の超伝導リニアック及び静電加速器を想定している。アンジュレーターは、発生波長によって結晶格子、超格子及び通常型プレナーアンジュレーター等を利用することが可能である。
小山 謹二; 山野 直樹; 宮坂 駿一
JAERI-M 8229, 62 Pages, 1979/05
使用済燃料などの輸送容器、再処理工程における線源評価コードを開発した。同位体元素の生成、消滅計算はORIGENで行なっている。遮蔽詳細設計に必要な中性子エネルギースペクトルについては自発核分裂中性子源及び任意のアクチニド核種を軽元素との(、n)反応による寄与が計算できる。そのため角度依存(、n)断面積は統計模型を用いた計算により8核種(Be、B、B、C、N、O、O、F)についてデータライブラリーを作成した。ORIGENで用いらている炉内中性子スペクトル指標の他に、各反応別の一群断面積の使用を可能として、より正確な燃焼条件を取扱える。遮蔽計算コードQAD-P5,ANISN-JR,DOT-IIIの線源入力形式に一致した線源データを与えることが可能である。